ひさやんのヘロヘロ滞在記・上海編

滞在記・タイトル写真

以前、中国へ旅行したことがあります。
その時の旅日誌と写真を材料に旅行記風にまとめてみました。

1999/3/18

◆再会

若い頃お世話になった美術デザイナー、三上陸夫氏とその奥さんは今は一線を退かれて上海の郊外で暮らしている。
5年ぶりぐらいになるだろうか、懐かしい三上さんに上海空港で出迎えて頂いて、そのまま住まいがある「万科城市花園」へ向かった。

お世話になった三上氏と万科【ワンクー】の町並み

お宅は、城壁で囲まれ出入り口には守衛が立つマンション街の一角にあった。3LDKの内、ホテルのシングルくらいの洒落た一室を10日間、専用にあてがってくださった。 床は本木目のフローリング。ベッドも木製のシンプルな仕立て。壁には、画家でもある三上さん直筆の油絵が掛けてあった。
いわゆる「積もる話」もあった筈だが、その日は移動の疲れや久方ぶりにお会いした照れもあった為か、型どおりとも言える挨拶や会話を終えて早々と就寝したように思う。

*…ここまでの文は今回付け加えたモノ。記事は就寝前に付けていた日誌をベースにしていますが、旅の内容をちゃんとご紹介しようと思うと、どうしても足りない部分が出てきます。それで、補足としてこのような短文を適時挿入していくことにしました。以後、追記には “ ” 印をつけることとします。

3/19

◆起床

マンションの部屋の窓から見える情景は、新鮮な面白さに満ち飽きることがない。8階から見下ろすためか、よくできた模型の世界か映画のようだ。

真下が公園で芝生があり、くすのきか何かの木がわずかにある。ごく普通の場所なのだが、なぜか独特の印象を受ける。細かい日本との相違の積み重ねがある為か、それとも光が違うからだろうか、すべてが柔らかい光でラッピングされたように落ち着いて穏やかに、また(中国色)とでもいうような特殊な統一感を持たせている。

自転車の人、徒歩で出社する人、2階バスが走り、ベランダで子犬が走り回っている。近所の部屋から中国語の大きな話し声が聞こえてくる。ちゃんと太極拳をする人も遠くに見える。やはり映画みたいだ。

◆朝食

近くの朝市に向かう。椅子の老人、道ばたの露天商、面白い人がいっぱいいる。カメラをいつも持つべきだ。
年寄りから竹かごを買い、三上さん夫婦の御用達の店で朝飯。

露天商の並ぶ市場通り

豆腐のスープと揚げパン、卵の多いダラ焼き、少し油っこく香草の匂いが気になるが食べられる。
“三上さんの奥さんによると、上海を訪れる日本人はこの町を大好きになるか「二度と来たくない」と思うか両極端だという。この町中にあふれている汚さとハッカクという香草の匂いを受け入れられるかどうかがポイントになるらしい。
私は勿論前者である。上海はどこへ行っても何かとても懐かしい感じがするのだ。”

店外の席で食べていると、始終市民達がうろちょろと動いている。老若男女、子供、あらゆる人々が行き交う。
皆、活気があり善良そう。見方を変えれば、韓国や日本のような暴力的に感じるパワーは見られない。「小さき人々」の印象を受ける。

三上さんのご近所さんと出会う 右の老人の顔が気に入った こんな光景を見ると…何故か切なくなる

1999.3.18〜19

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夢の途中